縄文と岡本太郎

2018.8.30よしなしごと

今、東京国立博物館で、「縄文ー一万年の美の鼓動」が開かれていますね。

国宝の土偶を見たことがあります。
「縄文の女神」と名付けられた土偶は、とてもスマートで、スタイルも良く、キリッとしていました。
「縄文のビーナス」と名付けられたものは、女性のやわらかい線の作品で、ちょっとユーモラスで素敵でした。
一万年以上も前に、こういう作品ができていたことに、本当にびっくりしてしまいました。

縄文の人は、土木も行い、日の出や、日の入りもチェックし、季節を理解し、暮らしていたといいます。
一万年以上もまえに?と再び問いたくなります。
人間は、進歩、進化しているのではないか。

大阪万博公園にある「太陽の塔」は、不思議な塔です。
最初に見た時は、その大きさにびっくりし、呆気にとられた印象が強くありました。
その後も、何度か見る機会があったのですが、印象がどんどん変わっていったのです。
だんだんなつかしいような、でも何か強く、こころに近づくものを、感じるようになっていました。

「太陽の塔」は、「人類の進歩と調和」を掲げた、万博のシンボルのために、岡本太郎が作ったと思っていました。
彼は、テーマとは反対に、「進歩」ではなく、人間が、根本的に生きること、その時に、何を信じ、何を取り戻すのか、その表現が、「太陽の塔」だったのです。

岡本太郎は、半世紀も前に、縄文土器や火焔土器の装飾性の美しさに気づき、生きるエネルギー、力強さに強く衝撃を受けたといいます。
また、この生命力は、日本人の祖先が誇った美意識だとも述べました。
それは、今も私たちのからだの底ふかくに、ひそんでいると。
彼は、縄文土器の芸術性を発見した人でした。

「つきとあそぼう」

2018.8.27よしなしごと

外に出ると、おつきさまが、まんまるで、虫の声だけが聞こえ、とても気持ちの良い夜です。
風が吹き、雲がながれ、月も同じように流れていく様子をみて、何かに似ていると思いました。

谷内こうたさんの絵本、「つきとあそぼう」でした。
三角帽子の男の子があらわれ、月と遊んでいるうちに、くろい雲が現れて、、と言葉は抑えられ、絵だけが物語りを作っていきます。
彼の絵本は、ほとんど言葉がありません。

出会ったのはずいぶん前のことです。
たまたま通りがかった書店で、絵本の原画展があり、そこで目にした一枚の絵に、心を奪われてしまったのです。
さりげなく置かれていた絵は、絵本「のらいぬ」からの一枚でした。
暑い日ざしを浴びた砂や、夏の海、そしてその空気感が、とてもシンプルに描かれていて、感動しました。

それから、「なつのあさ」、「ぼくだけのにんぎょう」「にわかあめ」「あのおとなんだ」「ひこうきとぼく」「かぜのふくひは」など絵本や画集を手元に置き、大切に読んできました。

「にわかあめ」では、少年三人が雨宿りするシーンがあるのですが、木に駆け込んできた少年の息遣いや雨の音、湿り気のある匂いまで感じられ、とても好きです。

「ぼくだけのにんぎょう」も、とても素敵な作品で、見る人がそれぞれに、それぞれの音楽を聞いてほしい、という画家のことば通り、楽器を持った奏者の現れかたやスタイルを見ていると、どんどん想像が広がっていきます。

美しい芸術だと思います。

処暑、綿のはなしべ開く

2018.8.22

8月23日は、処暑といわれます。
暑さのピークが過ぎ、季節は、変わっていきます。
8月23日  初候  綿の柎(はなしべ)ひらく
8月28日  次侯  天地始粛  てんち はじめて さむし
9月2日   末侯  禾乃登(こくもの すなわち みのる)

「はなしべ」とは、お花のがくのことです。

綿の種を頂いたとき、庭で、育てたことがあります。
イメージは、スカーレット・オハラのタラの広大な農園の綿畑でしたが、わたしは、ひっそりと一畝だけ作り、種を蒔いたのでした。
10日あまりすると、芽が出てきて、ちょっとホッとしました。
お花は、芙蓉やハイビスカスと同じ仲間なので、似たような黄色いお花が咲きます。
一日だけのお花です。
それから1ヶ月ほど待ってみると、お花のあとに、綿の実ができます。
熟すと実がはじけ、中から綿があらわれます。
白いふわふわが出てきたときは、ミラクルと思いました。
収穫後は、念のために、しっかりと乾燥させます。

綿は、紀元前2500年には、すでに古代インダス文明の土地で、栽培されていました。
日本には、奈良時代に入ってきました。
その頃から、綿は衣になり、種は綿実油として、利用されていました。

クッションを作ろうと、意気込んでいたのですが、植えたのはほんの一筋だったので、小さなピンクッションができただけでしたが、充分にテンションが上がり、
幸せでした。

お花屋さんでは、「コットンツリー」という名前で出ていることがありますが、これは、綿の実が熟したものを茎ごと、ドライフラワーにしたものです。