「つきとあそぼう」

2018.8.27よしなしごと

外に出ると、おつきさまが、まんまるで、虫の声だけが聞こえ、とても気持ちの良い夜です。
風が吹き、雲がながれ、月も同じように流れていく様子をみて、何かに似ていると思いました。

谷内こうたさんの絵本、「つきとあそぼう」でした。
三角帽子の男の子があらわれ、月と遊んでいるうちに、くろい雲が現れて、、と言葉は抑えられ、絵だけが物語りを作っていきます。
彼の絵本は、ほとんど言葉がありません。

出会ったのはずいぶん前のことです。
たまたま通りがかった書店で、絵本の原画展があり、そこで目にした一枚の絵に、心を奪われてしまったのです。
さりげなく置かれていた絵は、絵本「のらいぬ」からの一枚でした。
暑い日ざしを浴びた砂や、夏の海、そしてその空気感が、とてもシンプルに描かれていて、感動しました。

それから、「なつのあさ」、「ぼくだけのにんぎょう」「にわかあめ」「あのおとなんだ」「ひこうきとぼく」「かぜのふくひは」など絵本や画集を手元に置き、大切に読んできました。

「にわかあめ」では、少年三人が雨宿りするシーンがあるのですが、木に駆け込んできた少年の息遣いや雨の音、湿り気のある匂いまで感じられ、とても好きです。

「ぼくだけのにんぎょう」も、とても素敵な作品で、見る人がそれぞれに、それぞれの音楽を聞いてほしい、という画家のことば通り、楽器を持った奏者の現れかたやスタイルを見ていると、どんどん想像が広がっていきます。

美しい芸術だと思います。

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