いまふたたび リヒテルのピアノ

2024.4.1音楽

1970年の秋、スヴィヤトスラフ・リヒテルが、はじめて、日本で演奏会を開く
という、大きなニュースがありました。

聴いてみたくて、チケット発売同時に、電話をしたものの、話し中でつながることは
なく、それをみていた母がわざわざ大阪まで出かけ、チケットを取ってくれました。

飛行機嫌いのため、シベリア鉄道、そして、船、というルートで、日本に着いた船上のリヒテルの姿は、大きくテレビや新聞で取り上げられました。

日本初の演奏会は、大阪のフェスティバルホールからはじまりました。
わたしは、シューマンの交響的練習曲とムソルグスキーの展覧会の絵を聴きました。

当時、それなりにピアノの音、演奏に感動しましたが、最近、ふたたび聴き出した
リヒテルの演奏はどうでしょう、、
わたしは、なにを聴いていたのでしょう、、

手が止まるほど、聴き入ってしまい、何度も何度も繰り返し、聴いています。
ことばでは語ってこないけど、なにかことばにならない哲学を、確実に感じるのです。

リヒテルに限らず、超一流といわれるひとの演奏には、一体、なにがあるのでしょう、、
追いつけない、なにを持っているのでしょう、、

伝えたいもの、表現したいもの、そんなことは瑣末なことで、どうでもよく、
演奏家にもわからない謎があるのではないか、、

その謎を明かさず、秘密裡にそっと差し出すというやり方、、
そして、私たちは、その謎を単に認識するという礼儀を持っているという、、

シューベルトをたくさん聴いたあと、いまは、朝、バッハの平均律を聴くのが好きです。

日本語の音名でうたう歌

2023.12.7音楽

前に英語での音名の話しを書きましたが、今日は日本語の音名の話し。

音名は、国ごとに、ドイツ音名や、イタリア音名、フランス音名などいろいろ表現の
違いがあります。

日本では、ラの音をイであらわし、ドレミファソラシドは、ハニホヘトイロとなります。
ここまでは、知識でした。

BS12で、21時から、「鶴瓶ちゃんとサワコちゃん〜昭和の大先輩とおかしな
2人〜」というトーク番組が、最近はじまりました。
時間も50分と長く、なにかの宣伝でバタバタという慌ただしさもなく、
ゆっくりとおはなしをたのしめます。

その中で、もうすぐ90才になるという、中村メイコさんが、ゲストのときでした。

そういえば、歌もイロハで歌っていた、というはなしが出て、
「春の小川」のメロディ、「ミソラソミソドド ララソミドレミ」を
「ホトイトホトハハ イイトホハニホ」と歌い出したのには、びっくりし、
ほんとうに、ああやって歌っていたんだということがわかり、おどろきました。

ただ聞いていると、音名でうたってる〜というより、なにかの歌詞のような印象が、
うっすらと感じられ、ふしぎでした。

いろんなマイウェイ

2023.11.30音楽

紅葉が、ますます深みを増す日々、毎年のことながら、不思議とシャンソンを聴きたくなる季節になりますね。

コンサートにも何度も出かけていた、金子由香里さんですが、2010年の引退から、ずいぶんと時が過ぎてしまいました。
最後の日のコンサートの日、多くのひとが惜しみ、金子由香里さんも、シャンソンを
やめるわけじゃないから〜
とおっしゃっていましたが、生の歌声が聞けなくなったのは、とっても残念です。

YouTubeで歌声を探していたとき、偶然に見つけた”my way”ーそれは、林隆三さんとのデュエットで、佇まいから仕草まで、とても大人っぽい雰囲気で、引き込まれてしまいました。

この歌は、元々、”comme d’habitude”(いつものように)という意味のシャンソンでした。
これを聞いたポール・アンカが、英語の歌詞をつけ、フランク・シナトラが歌い、
大ヒットとなり、そして、日本語にもなりました。

尾崎紀世彦が、とてもきれいな英語で歌っているのも素敵ですが、その彼が、岩谷時子の日本語バージョンで歌っているのも、しみじみと繰り返し聞きたくなります。

綾戸智恵が、ピアノで弾き語りをしているのも、雰囲気があってとてもよく、
マイウェイの日々を過ごしています。

MY WAYーa ma facon、ア マ ファソン、わたし流、わたしの好きなフランス語です。