紅茶のジャンピングと湯の沸かし方

2017.7.15紅茶

ジャンピングは水の中の酸素がポイントでした。

次にその酸素を生かす、水の沸かし方が大切になってきます。

勢い良く水を注いだやかんを火にかけ、沸かしていくと細かい泡が立ち始めます。そのまま沸かし続けると大きな泡に変わっていき、湯の表面がゆるやかに波打った感じになったところで、火を止めます。つまり、ボコボコと沸騰する前に火を止めるのです。沸騰させると、酸素が抜け、ジャンピングが起こりにくくなります。

沸点の100℃ではなく、95~98℃という温度は酸素がぎりぎり残っている温度で、これ以上になると酸素は急に少なくなってしまいます。また90℃以上でないと紅茶の味、香り、色のキーとなるカテキン、カフェインが抽出できなくて、おいしい紅茶にはなりません。

湯の量は多い目に沸かします。一人分、140ccのティーカップに二杯半飲むとして、350ccが必要量としても、その場合でも1リットルぐらいの湯を沸かしてください。少ない水量だと酸素も少ないからです。

英王立化学協会の紅茶の淹れ方には、陶磁器製のポットの4分1量の水を入れ、電子レンジで1分加熱するとあります。ポットを温めるのは、より完全に、茶葉を抽出するためです。温めなければ、すぐに1~2度冷めてしまいます。温めておいたティーポットの湯を捨て、すぐに茶葉を加え、沸かしたての湯をティーポットから少し離し、高い位置から勢い良く、茶葉をたたくように淹れることで、気泡が茶葉に多くついて、茶葉がティーポットの上の方に上がり、そしてジャンピングがはじまります。

紅茶のジャンピングと水

2017.7.13紅茶

おいしい紅茶を淹れるためには、普通の水道水を使います。

水は硬水、軟水とふたつに分けられ、水に含まれるカルシウム、マグネシウムの量が多いものが硬水、少ないものが軟水になります。

硬度100までのものを軟水、100~300は中硬水、300以上が硬水となります。

紅茶は軟水が合いますし、日本の水は軟水です。およそ硬度は20~100に当たります。

参考にミネラルウォーターの硬度を調べてみました。

コントレックスは硬度1468、ヴィッテル315、エビアンは304、ボルヴィック60、六甲のおいしい水32、サントリー天然水30、い・ろ・は・す27.7等でした。

紅茶を作る時に、ティーポットに入れた茶葉に勢い良く湯を注ぐと、茶葉に細かい酸素の泡が付き、その浮力で茶葉がティーポットの上の方に上がります。そして今度はその茶葉が水分を吸って底の方に沈み、湯の対流に乗って、この上下運動を繰り返していきます。これをジャンピングと言い、このジャンピングが完璧に起こっている時に、紅茶の味、香りそして紅茶の色も引き出され、おいしい紅茶になるのです。ジャンピングを起こす条件のひとつとして、酸素がたくさん含まれている水で紅茶を淹れるというのが、最初のステップになります。

水道水は勢い良く、やかんに注ぐこと、汲み置きしていた水や沸かしなおした水は使いません。

新しいペットボトルの水を使う時は、ふたを開け、少し中の水を出し、またふたをし、よく振り、酸素が水に混ざるようにしてから使います。

紅茶の成分のタンニンは、水に含まれるカルシウム、マグネシウムと結びつくと、紅茶の色や味、香りに影響がでてきます。

硬水で淹れると、紅茶の色は透き通った色ではなく、黒っぽくなり、味も香りもなくなってしまいます。

軟水を使うと、紅茶の色は少し淡くなりますが、よく抽出して、味も香りも良くなります。ただ渋みが強く出ないように、茶葉はすこし控えるのがポイントになります。

硬水の特徴を利用して、紅茶を淹れることもできます。硬度の高いエビアンでダージリンやウバという渋みのある茶葉を入れると強い渋みがおさえられ、紅茶の色は濃くなるので、ミルクと合う紅茶になります。

ミルクが先

2017.7.10紅茶

1848年、ファミリーエコノミストという雑誌に、紅茶の心得が載りました。

その後、ジョージ・オーウェルが、そしてトワイニング社、ピカデリー・オブ・ジャクソン社等が、おいしい紅茶の入れ方を発表してきました。

水、ティーポット、湯の注ぎ方、茶葉など、今に伝わっていることが多くありますが、ミルクの扱いに移り変わりがあります。

ファミリーエコノミストでは、カップの中にミルクを先に淹れ、そして紅茶を注ぐという、ミルクインファースト スタイルでした。

ジョージ・オーウェルは紅茶をカップに先に淹れ、後からミルクを注ぐミルクインアフターを主張しました。

トワイニング社は室温のミルクを先に淹れ、そして紅茶を注ぐこととし、ジャクソン社は、ミルクはコクのあるインドの茶葉やセイロン茶の時に使うとあり、後先という明言はありません。

そして2003年、英王立化学協会が完璧な紅茶の淹れ方として、10ヶ条を発表しました。その中で、ミルクについて、スティープリー博士が検証し、決着が着きました。

ミルクが先という結論です。その理由は、ミルクは75℃になると牛乳たんぱくの熱変性が起こるということに起因しています。カップの熱い紅茶のあとにミルクを少しずつ淹れると、紅茶の高温で熱変性が起きてしまう。

反対に冷たいミルクに熱い紅茶をゆっくり淹れていくと、ミルクの温度が徐々に上がり、たんぱく質の変性は起こりにくくなるのです。

ここでのミルクは低温殺菌の牛乳のことで、高温殺菌の牛乳では、ミルクが先でも後でも違いはありません。

日本語でイングリッシュミルクティー、もしくはロイヤルミルクティーと呼んでいる、ティーウィズミルクを飲む前にカップに添えられたティースプーンをティーカップの中にしばらく入れておくと、熱の移動で、飲み頃の60~65℃になり、おいしくいただけます。