ミルクが先

2017.7.10紅茶

1848年、ファミリーエコノミストという雑誌に、紅茶の心得が載りました。

その後、ジョージ・オーウェルが、そしてトワイニング社、ピカデリー・オブ・ジャクソン社等が、おいしい紅茶の入れ方を発表してきました。

水、ティーポット、湯の注ぎ方、茶葉など、今に伝わっていることが多くありますが、ミルクの扱いに移り変わりがあります。

ファミリーエコノミストでは、カップの中にミルクを先に淹れ、そして紅茶を注ぐという、ミルクインファースト スタイルでした。

ジョージ・オーウェルは紅茶をカップに先に淹れ、後からミルクを注ぐミルクインアフターを主張しました。

トワイニング社は室温のミルクを先に淹れ、そして紅茶を注ぐこととし、ジャクソン社は、ミルクはコクのあるインドの茶葉やセイロン茶の時に使うとあり、後先という明言はありません。

そして2003年、英王立化学協会が完璧な紅茶の淹れ方として、10ヶ条を発表しました。その中で、ミルクについて、スティープリー博士が検証し、決着が着きました。

ミルクが先という結論です。その理由は、ミルクは75℃になると牛乳たんぱくの熱変性が起こるということに起因しています。カップの熱い紅茶のあとにミルクを少しずつ淹れると、紅茶の高温で熱変性が起きてしまう。

反対に冷たいミルクに熱い紅茶をゆっくり淹れていくと、ミルクの温度が徐々に上がり、たんぱく質の変性は起こりにくくなるのです。

ここでのミルクは低温殺菌の牛乳のことで、高温殺菌の牛乳では、ミルクが先でも後でも違いはありません。

日本語でイングリッシュミルクティー、もしくはロイヤルミルクティーと呼んでいる、ティーウィズミルクを飲む前にカップに添えられたティースプーンをティーカップの中にしばらく入れておくと、熱の移動で、飲み頃の60~65℃になり、おいしくいただけます。

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