最近のアフタヌーンティーとその周辺

2018.5.22紅茶

いま、イギリスでは、ハリー王子の結婚が話題になっていますね。
そのイギリスの最近のアフタヌーンティー情報をお知らせします。

テーブルについて一番にすることは、ティーナプキンを膝に広げることですが、二つに折った輪の方を外側に、そして二枚に分かれている方を手前に置きます。
そうすると、口元を押さえた後、汚れをティーナプキンに閉じ込めることができます。
中座する時は、椅子に置かずに、テーブルの左手上の方に置く場合が、多くなっています。
ティーが終わったときも、ティーナプキンは、自分の左手上側にきちんとたたんで四角におきます。
「お茶を楽しみました、良い時間でした、またお招きを楽しみにしています」と表現するように。

ティーカップのセットですが、英国式はスプーンは、縦に置くことが多かったのですが、ティーカップの向こう側に、横に置くようになってきました。
ティーカップの前にスプーンを置くと、カップを持つときにひっかかるような感じになったり、お砂糖をティーカップに入れる時は、向こう側に置いたスプーンをそのままカップの中で、時計の12時と6時を行き来させるように3~4回往復させると、もとのカップの向こう側にスムーズに置けて便利です。

取っ手の位置は、ティーカップの右側でも左側でも構いません。利き手のほうに向けます。
東洋から陶磁器がヨーロッパに入ってきた頃、ティーカップには取っ手が付いていませんでした。
カップの底に親指を、そして飲み口のほうには人差し指と中指で持ち、小指をちょっと気取って飲むことがありました。
取っ手が付いた現代では、小指を立てることは、無作法とされています。
取っ手が小さいときは、無理に取っ手の中に指を入れることはしません。
つまむようにして、取っ手を持ちます。
大振りなティーカップやマグの時は、しっかりと取っ手に指を入れて、バランスを取ります。

そしてこの頃のカップは、熱い紅茶を注ぎ、その後ミルクを入れると、ひびが入ったりすることがあったので、ミルクを先に入れていたというという話しが残っています。
現代では、ミルクのたんぱく質の熱変性を考え、英国王立化学協会がミルクが先と結論を出し、「ミルクが先か、後か」という楽しい話題の決着はついています。

ハリー・ポッターと紅茶占い

2018.5.17紅茶

女優のサヘル・ローズさんが、「徹子の部屋」でコーヒー占いをしているのを、見たことがあります。
コーヒーを飲んだ後のカップから、随分いろんなことがわかるものだとびっくりしましたが、後年、サヘルさんが再出演されたとき、「あの占いは当たっていました」と、徹子さんも、驚いておられました。

そういえば、映画「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のなかでは、紅茶占いのシーンがありましたね。
ホグワーツ魔法魔術学校の占いの授業で、トレローニー先生が、今学期はお茶の葉を読むことに専念し、来学期は手相学にすすみましょうとハリー達に話します。

生徒は二人づつペアになり、棚から紅茶のカップを取って、先生の所へ持っていき、紅茶を注いでもらいます。
先生は一番大きなティーポットを手に取ると、「最後に滓が残るまで、お飲みなさい。」と告げます。

トレローニー先生が説明をします。
「左手でカップを持ち、滓をカップの内側にそって、3度回しましょう。
それからカップを受け皿の上に伏せてください。
最後の一滴がきれるのを待って、自分のカップを相手に渡し、葉の模様を読んでもらいます。」

茶殻は重なり合って、いろんな形を作ります。
動物や魚、鳥、花、木や星、と種類は百通りにも及ぶと伝えられています。
占いは、結果によっては、そっと言葉を選んだりすることもあるので、茶殻の形を読み解くだけでなく、当時も人の気持ちを伝える方法のひとつとして、占いの形をとったのかも知れません。

トレローニー先生はカップを時計と反対周りに回し、じっと中を見つめていると、ハリーのティーカップの底の茶殻から、アズカバンから脱獄した宿敵のシリウス・ブラックの影があらわれました。

米團治の「女はみんなこうしたもの」

2018.5.13音楽

モーツァルトのオペラ、「コジ・ファン・トゥッテ」、イタリア語で、cosiはこのように、fanはする、tutteはすべての女はという意味で、「女はみんなこうしたもの」というタイトルになりました。

でも今日は、「オペラ」ではなく、「オペ落語」のお話しです。
「オペ落語」というのは、落語家、桂米團治さんが始められた、文字通りオペラと落語を合わせた演目です。
米團治さんは、自らを、「モーツァルトの生まれ変わり」と言われるほど、モーツァルトやクラシック音楽に造詣の深い方です。

このオペラの登場人物は、
姉のフィオルディリージとその恋人である仕官のグリエルモ
妹のドラベッラとその恋人の仕官、フェルランド
男性ふたりの共通の友人であり哲学者でもあるドン・アルフォンソ    
姉妹の女中のデスピーナです。
    

あらすじを簡単にいうと、恋人というのは、裏切るようなことはしないものと主張する男性二人に対して、彼らの友人でもある哲学者のドン・アルフォンソは、そんなことはない、出来心、心変わりはあるものだと述べ、どちらが正しいか、賭けをすることになりました。
哲学者は、一計を案じます。
男性二人は、急に戦いに参加しなくてはならなくなったと言って、それぞれの恋人である姉妹と別れを惜しみ、船に乗り込むふりをします。
哲学者は、姉妹の女中に、悲しんでいる姉妹に対し、男性はほかにもいるのだから、恋を楽しみましょうと、そそのかせます。
哲学者は、男性ふたりを変装させ、グリエルモは妹を、フェルランドは姉の方を口説くように仕向けると、これが成功し、結婚にまで話しがすすみます。
結婚証明書に署名をするその時に、戦いに行っていたとされる男性二人が戻ってきます。

あわてる姉妹に、男性二人は変装をとき、真相を話します。
ゆるしを請う姉妹、そして男性二人も試すようなことはしないと誓い、最後はめでたし、めでたしのお話しでおわります。

二重唱、三重唱が美しいオペラですが、この「オペ落語」の舞台で一番盛り上がったのは、男性二人が船に乗り込む時、高座が帆船に変わって、舞台の袖に向かって動き出した時で、客席から大きな歓声と拍手が沸き上がりました。