ティーロード  海路と陸路

2018.4.19紅茶

学生時代に聞いた英語の先生のお話しで、印象に残っていることがあります。
時制の勉強の時に、現在、過去、過去分詞と機械的に捉えるのではなく、たとえば、と“may”を例に話されました。
過去形の“might ”とに「ちから」があるから、未来に可能性が及んでいくのだと、言葉の流れを教えてくださいました。

言葉をたどると、歴史が浮かんでくることがあります。

「チャ」を表現する言葉に、その流れが残っています。
紅茶には、大きく分けて、「チャ」と「ティー」という言い方をしますね。

それは紅茶がたどったルートがふたつあるからです。陸路と海路です。

茶の発祥地である中国から、牛や馬、らくだを使って陸伝いにヨーロッパへ伝わった、陸路がひとつ。 

広東語である「Chaチャ」は内陸を通り、日本、ロシア、インド、中近東へとひろがっていきました。
日本は「Cha」、アラビアは「Chai] 、ポルトガルは「cha]、トルコは「chay]、ロシアは「chai]とチャ系の言葉です。

もうひとつは、大航海時代のポルトガル人やオランダ人の手を経て、海路から伝わりました。

福建省のアモイの方言、「tayテ」から、マラヤでは「te]、オランダやドイツは「Theeテ」と呼び、イギリスは「tea」、フランスは「the」、デンマークは「te」、 イタリアとスペインは「te」という名称になりました。

水鳥

2018.4.18よしなしごと

若葉の美しい季節になってきました。

家の近くの川は、そんなに大きくないのですが、水は澄んでいて、ゆっくり流れています。
雨が降ると、何ヶ所かある堰からの水の流れが増えて、清々しい感じがします。
そんな小さな川に小鳥がやってきます。
カルガモ、セグロセキレイ、コサギ、そして、カワセミもやってきます。

カルガモは、いつも2羽が一緒にいます。ルールのように、一緒です。
コサギは真っ白で、いつもひとりでいます。たまに、同じ仲間のところに向かって飛ぶことがありますが、すぐにひとりになります。

セキレイは、英語で“wagtail” といわれますが、wag-長い尾を上下に振ります。

北斎展に行ったときのことです。
セキレイが描かれていたのですが、特徴のある長い尾を見た人から、「あんな鳥、いるかしら」と声が上がっていたのを、思い出しました。
いつも見ているセキレイだったので、描写の正確さとすこし、北斎に親近感を持ちました。

カワセミは、頭が鮮やかな青、瑠璃色のようで、胸のあたりはだいだい色、くちばしは長く、尾は短い鳥です。
漢字では、「川蝉」と表示したり、「翡翠」と書いたりします。「翡翠」という言葉は、羽の色に由来します。
「渓流の宝石」とも 「空飛ぶ宝石」と称される、とても美しい鳥です。

英語では、”kingfisher”と言う様に、お魚を取るのが上手で、カワセミは雄が雌にお魚をプレゼントするそうです。

カワセミについては、長く、誤解していました。
童謡で、「わらいかわせみに、話すなよ」という、サトーハチロー作詞、中田喜直作曲の作品がありますが、それと同じだと思っていたのです。

たぬきのね、たぬきのね、坊やがね、
おなかにしもやけできたとさ
わらいかわせみに話すなよ
ケララ ケラケラ ケケラケラ とうるさいぞ

わらいかわせみとカワセミでは、まったく鳴き声が違っていました。

4月5日 清明(せいめい) 

2018.4.5

二十四節気のひとつである「清明」は、4月20日の穀雨(こくう)までの時期を指します。
「清明」は文字通り、清く明るい空気が満ちる時期と伝わっています。
もともとは、万物が清らかで、生き生きとした様子を表した「清浄明潔」という言葉を略した季語でした。

俳人、飯田蛇笏(だこつ)の句に、「清明の路ゆく媼が念珠かな」という一句があります。

七十ニ候を見ると、春が行き届いている感じがします。

初候 4月5日~4月8日
玄鳥至 つばめ、きたる

次候 4月9日~4月13日
鴻雁北 こうがん、かえる
雁がシベリアへ帰っていく頃、そして雁は「かりかり」という鳴き声が名前の由来となっています。

末候 4月14日~4月19日
虹始見 にじ、はじめて、あらわる
春が深まって空気が潤い、きれいな虹が見えるようになります。

この時期、新じゃがいもが、旬をむかえますね。
作家、宇野千代が、とても簡単でおいしいのでお薦めという、「新じゃがの薄切りサラダ」を紹介します。
新じゃがいもは、濡れぶきんで、皮をこすってむき、薄くうすく、輪切りにします。
よくアク抜きをし、塩を少し加えた熱湯で、サッとゆがきます。
すぐに半透明になるので、火がちゃんと通り、歯ごたえがあれば、すぐにザルに取り、水道の蛇口の下に持って行き、急速に冷やします。

フレンチドレッシングにお出しを入れて伸ばし、砂糖と薄口醤油をほんの少しとゆず酢をほんの少しあわせ、ポテトと和え、冷蔵庫で冷やします。
器に盛り付けて、パセリのみじん切れを散らします。