こよみは寒露です

2017.10.9

二十四節気(にじゅうしせっき)では10月8日が寒露に当たり、これから本格的な秋のはじまりとなります。空気も澄み、夜も長くなっていき、日が落ちてからの楽しみが増えていきます。次の二十四節気の10月23日の霜降まで、七十二侯(しちじゅうにこう)では10月8日から13日は鴻雁来(こうがんきたる)、10月14日から18日は菊花開(きくのはなひらく)、10月19日から23日は蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)と季節の名前を読むだけで、「秋深し」が感じられます。

寒露は俳句で秋の季語になります。
手元に田辺聖子さんの「花ごろもぬぐやまつわる わが愛の杉田久女(ひさじょ)」と同じ著者の「ひねくれ一茶」があったので、もう一度、読んでみることにしました。

杉田久女は美術教師の妻となってから、俳句と出合い、俳誌「ホトトギス」に投稿し、評価を得ていきますが、のちに、尊敬する高浜虚子からは破門され、晩年は精神を病んでしまいます。
数年も前になりますが、杉田久女を樹木希林さんが演じた「台所の聖女」というドラマがあったことも思い出しました。ドラマの内容はもちろん、樹木希林さんをはじめ錚々たる出演者の方々の演技がすばらしく、もう一度見たいドラマでした。

本のタイトルになっている俳句が、花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ、他にも、足袋つぐやノラともならず教師妻、紫陽花に秋冷(しゅうれい)いたる信濃かな、夕顔に水仕(みずし)もすみてたたずめり、こだまして山ほととぎすほしいまま、甕たのし葡萄の美酒がわき澄める等々があります。

「ひねくれ一茶」は、一茶の俳句からは想像できない「屈折」という言葉ではおさまらない、なまなましいまでの一茶が立ち現れてきます。

一茶の秋の句をすこし。
けふからは日本の雁ぞ楽に寝よ、青空に指で字を書く秋の暮れ、日の暮れの背中淋しき紅葉かな、名月をとってくれろと泣く子かな、夕日影町いっぱいのとんぼかな、散るすすき寒くなるのが目に見ゆる、うつくしや障子の穴の天の川

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