冬のお花と赤い実

2018.12.11よしなしごと

散歩をしていると、赤い実をつけた木に目がいきます。
寒い季節に、その赤い色がとても美しく映えますね。

よく似ている木に、千両と万両があります。
千両は葉の上に、万両よりも小さい赤い実をつけます。
万両は、葉の下に赤い実をつけますが、Coralberry(さんご色の実)といわれるように、つやのある赤い色をしています。

同じく赤い実を持つ南天は、難を転じる木として、裏鬼門の南西に、そして表鬼門の東北には、ヒイラギを植え、鬼封じとします。
ヒイラギの葉のとげとげが、邪気を祓うと信じられ、魔よけの木となりました。
白いお花が咲くヒイラギは、モクセイ科の木ですが、クリスマスに使われる赤い実のなるセイヨウヒイラギは、モチノキ科です。

冬のお花は、断然はシクラメンですね。春まで長くお花が楽しめます。
英語では、「sou bread」といい、文字通り、「雌豚のパン」という意味で、球根が豚の食べ物になることからきています。
「ぶたのまんじゅう」という言い方も、豚の食べ物からきています。

「かがりびばな」という素敵な名前もあります。
田辺聖子さんの短編に、「篝火草(シクラメン)の窓」という作品があります。
「週末の鬱金香(チューリップ)」という短編集の中のひとつです。
線路沿いの一軒家の窓辺に、冬はシクラメンが飾ってあり、その風景を電車の窓から、たのしみにしていた人がありました。
ある日、窓辺にシクラメンはなく、とてもそれが気になってしまった人は、シクラメンを抱えて、訪ねていきます。
短いおはなしですが、こころが静かにゆれる物語です。

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