アイスティー

2017.7.27紅茶

アイスティーは1904年、アメリカ、セントルイスで開かれた万国博で生まれました。アイスティーは、透き通った紅茶の色が、さわやかさを与えます。

その紅茶の色が、時間がたつと白く濁り、クリーム色に見えることがあります。これをクリームダウンと呼びます。

アイスティーを作る時、グラスに氷を入れ、濃い目に淹れた紅茶を一気に注ぐ方法がありますが、これはクリームダウンが起こりやすくなります。グラスの氷をめがけて、熱い紅茶を淹れることで、温度が徐々に下がっていき、この温度変化が、茶葉のカテキンを結晶化させてしまうのです。

カテキンを多く含む茶葉、インドのダージリン、アッサム、スリランカのウバ、ヌワラエリアという渋みの強い茶葉でアイスティーを作ったときも、クリームダウンが起こりやすくなりますが、出来上がったアイスティーに熱湯を少し加えると、結晶が溶け、透明な紅茶の色にもどります。また、個性が強い茶葉なのでクリームダウンを起こしていても、そのままミルクを加えると、おいしく飲めます。

個性の強くない渋みの少ない茶葉、インドのニルギリ、スリランカのキャンディ、ディンブラの茶葉で、使う茶葉の量も少なく、そしてゆっくり時間をかけて蒸らすと、紅茶の色もきれいに、ライトな味のアイスティーができます。特にキャンディは紅茶の色がしっかりときれいに出るので、アイスティーに向く茶葉と言えます。

クリームダウンを起こさないアイスティーの作り方として、茶葉をブラックティーより少なめに、一人分2g、140ccを人数分、用意し、10-15分以上蒸らした紅茶を、一度別の容器に茶漉しで漉します。そして次に、氷を八分目程入れた容器に紅茶を一気に注ぐことで、温度変化を抑え、茶葉のカテキンを結晶化させにくくさせます。氷を漉して出来上がりです。冷蔵庫には入れません。常温で半日をめやすに保存します。

また水出し紅茶にすると、冷水なので、カテキン、カフェインは抽出せず、渋みも少なく、軽くて飲みやすいアイスティーになります。冷水1ℓに茶葉は多めに10gほど入れ、冷蔵庫で4、5時間ほど置いて抽出し、茶葉を漉します。

紅茶とティーバッグ

2017.7.21紅茶

ティーバッグでの紅茶の淹れ方が変わりました。従来は、温めたティーポットやカップにティーバッグを入れ、その上から熱湯を注いで紅茶を抽出していました。この淹れ方だと、ティーバッグが上の方に浮かんでしまい、紅茶の味や香りが充分に引き出せていませんでした。

ティーバッグは、およそ100年ほど前に、アメリカで生まれ、形や材質も変化がありました。絹のふくろやガーゼを使ったもの、紙やナイロンの不織布、三角形のナイロンメッシュです。

この三角形、いわゆるテトラパック型のナイロンメッシュのティーバッグが出てきてから、淹れ方が変わりました。ティーポットやカップに熱湯を注いだ後に、ティーバッグを浸すというスタイルです。こうすると、ポットやカップの底までティーバッグが沈み、中の茶葉は、水分を充分に吸って開きやすくなり、香りやボディのしっかりとした紅茶になります。しかもテトラパック型の中の空間では、ジャンピングが小さく起こり、紅茶の抽出を助けています。

ナイロンメッシュ以外のティーバッグでも、熱湯が先のスタイルで、ティーバッグが底まで届くように、ゆっくり入れてやります。そして、紅茶は蒸らすことから、ティーカップには、ふた、もしくは受け皿でふたをします。

紅茶のジャンピングと湯の沸かし方

2017.7.15紅茶

ジャンピングは水の中の酸素がポイントでした。

次にその酸素を生かす、水の沸かし方が大切になってきます。

勢い良く水を注いだやかんを火にかけ、沸かしていくと細かい泡が立ち始めます。そのまま沸かし続けると大きな泡に変わっていき、湯の表面がゆるやかに波打った感じになったところで、火を止めます。つまり、ボコボコと沸騰する前に火を止めるのです。沸騰させると、酸素が抜け、ジャンピングが起こりにくくなります。

沸点の100℃ではなく、95~98℃という温度は酸素がぎりぎり残っている温度で、これ以上になると酸素は急に少なくなってしまいます。また90℃以上でないと紅茶の味、香り、色のキーとなるカテキン、カフェインが抽出できなくて、おいしい紅茶にはなりません。

湯の量は多い目に沸かします。一人分、140ccのティーカップに二杯半飲むとして、350ccが必要量としても、その場合でも1リットルぐらいの湯を沸かしてください。少ない水量だと酸素も少ないからです。

英王立化学協会の紅茶の淹れ方には、陶磁器製のポットの4分1量の水を入れ、電子レンジで1分加熱するとあります。ポットを温めるのは、より完全に、茶葉を抽出するためです。温めなければ、すぐに1~2度冷めてしまいます。温めておいたティーポットの湯を捨て、すぐに茶葉を加え、沸かしたての湯をティーポットから少し離し、高い位置から勢い良く、茶葉をたたくように淹れることで、気泡が茶葉に多くついて、茶葉がティーポットの上の方に上がり、そしてジャンピングがはじまります。