身近に清少納言を感じた日

2022.4.9よしなしごと

もうすぐ一歳を迎える小さなひとがーそう呼びたくなるような、とても落ち着いている女の子がー訪ねてくれたときのこと。
離乳食のあと、いちごをひとつ手に持たせると、一瞬戸惑いつつも、そっと口に
近づけたとき、急に思い出すことがありました。

「枕草子」で、清少納言が、かわいいと思う子どものことを、書いているところが
あります。

気高いもの、美しくふっくらした幼児がいちごを食べているさま、品よきながめ。
千年も前に、いちごを食べていたことにおどろき、強く印象に残っていたので、
目の前の幼児と結びついたわけです。

清少納言は、もうひとつ、書いています。

幼児が這ってくる途中、小さいゴミを見つけ、自分の小さい指でつまんで、おとなに
見せるかわいらしさ。
まったく同じことを見せてくれた幼児に、平安時代が、清少納言がぐっと近づいて、
とってもたのしい気持ちになりました。

清少納言が感じられるご神事が六月にあります。
大阪住吉大社で行われる、お田植え神事です。

清少納言が賀茂へ詣る途中に、田植えを見、そこで聞いたうたを、枕草子に
書いています。

ほととぎす おれかやつよ おれ鳴きてこそ われは田植うれ

ことしは、六月十四日に行われます。

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