ミェチスワフ ホルショフスキの音楽

2023.7.18音楽

ポーランド生まれの、そして、99才まで、公の場で演奏会を開いていたピアニストがいます。

ショパンの直弟子、カール・ミクリに学んだ母から手ほどきを受け、長きに渡って
チェリストのカザルスと演奏活動をしていました。
カザルスが、国連で「鳥のうた」を弾いたときも、ピアノはホルショフスキでした。

1987年、カザルスの名前を冠したカザルスホールの柿落としに、95才のときに、はじめて来日し、二回コンサートを開きました。

とても端正な、うつくしいピアノの音で、特にバッハのイギリス組曲5番に、
感動しました。

そのころのテレビのドキュメンタリーで、「ホルショフスキの奇跡」という番組が
ありました。
コンサートの様子、日常生活、レッスンの様子、癇癪を起こしているところさえ、
映像にありました。

ホルショフスキ、89才のときに、40才年下のビーチェ夫人と結婚したのですが、
その時の、「人生のよいことには、いつも、時間がかかります」という夫人の
ことばは、すてきだなと、いまもこころに残っています。

レッスンのときに、「作曲家はピアニストのために、音楽を作ったのではない
ピアノのために作ったのだ」という、ホルショフスキのことばは、とても大切な
教えだと思いました。

敬愛するひとと寄り添い、一度に、ひとつのことだけをやること、決してあれこれと、気を散らさないこと、という約束を、規則正しい生活とともに過ごしていくのは、
人生に深く集中できた日々ではなかったかとおもいました。

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