福岡伸一先生の青という色

2023.7.29よしなしごと

生物学者の福岡伸一先生の、「わたしのすきなもの」を読みました。

その中のオオルリアゲハの章、青についての文章に、感動しました。

海の青、山の青、空の青、どの青も手に取ることはできない
水や空気の性質によって、太陽の光の中から、青い光が選び出されているから
青く見えるだけ
物質ではない、現象としての青

オオルリアゲハの美しい青も取り出すことはできない
翅は黒い粉と化して、青はたちまちなくなってしまう
翅にあるうすいミクロなガラス状の層が、青い光だけを反射している
この構造を壊すと、この青も儚く消えてしまう

光としての青は、赤や黄に比べエネルギーが強く、生命がまだ小さな単細胞生物
として、太古の海に漂っていた頃、最初に感知したのは、青色だったのかもしれない
青がその方向を教えてくれ、青に向かって必死に泳いだことでしょう

生命にとって、必要なものを、うつくしいと感じるのが美の起源だとすれば、
人が青を好むことにも、深い理由があるのかもしれない

福岡先生がお好きなフェルメールの光と青には、どんな深い理由があるのでしょう

福岡先生といえば、動的平衡
それは、絶えず動きながら、バランスを作りなおす営みのこと
それが、生命の一番大切な特性

わたしのすきなものとは、つまり自身を育み励まし守ってくれたもの
というおしまいの言葉は、生きていくとき、携えるすてきなことばだと
おもいました。

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