今日は中秋の名月です
2017.10.4暦
今日の中秋のお月様は、西日本、東日本ともきれいな月が見えるチャンスと天気予報にありました。
お月見にはすすき、おだんごをお供えしますが、新里芋もお供えすることもあり、芋名月ともいいます。
お団子をお下がりで頂くときは、日本茶との相性はとても良いのですが、紅茶ともおいしいペアリングができます。緑茶は繊維質を抽出する飲み物なので、紅茶の方があっさり、すっきりと感じられるかもわかりません。
ダージリン、キーマンなど個性の強い紅茶やフレーバーティーと脂肪分のないお団子を合わせると、紅茶の味が勝ってしまいます。少し渋みのあるウバ、ヌワラエリアをいつもより茶葉の量を少ない目に淹れると、甘みの強くないお団子と合います。今日は、ティーカップではなく、日本茶のお湯飲みに控えめに淹れると、目先が変わって楽しめると思います。
お月様が出てくる、かんのゆうこさん作、東儀秀樹さん絵の「光り降る音」という絵本が素敵なので、紹介します。月夜、聞こえない音がきこえるうさぎと鳳凰のおはなしです。雅楽の楽器のひとつである笙は、パイプオルガンのような音がしますが、楽器自体は天上から差し込む光を表現しているといわれます。そして笙のかたちは、鳳凰が羽を立てた姿といわれて、美しい楽器です。
あさって、10月6日、満月を迎えます。
サブレ侯爵夫人のお菓子
2017.9.26お菓子
パイ生地の作り方には、折り込み式と練り込み式のふたつがあります。練り込み式の生地は、三種類に分かれます。
パート・シュクレ 甘みのある生地
パート・ブリゼ 塩気のある生地
パート・サブレ 生地そのものがお菓子になる
パート・サブレの作り方
無塩バター 120g
粉砂糖 70g
塩 ひとつまみ
卵黄 1個(20g)
薄力粉 170g
下準備:冷蔵庫からバターを出して、室温にもどす。たまごは、卵黄と卵白に分けておく。薄力粉はふるっておく。
ボウルにやわらかくなったバターを泡だて器で混ぜる。粉砂糖を加えてすり混ぜていく。塩を加え、卵黄も加える。ふるった薄力粉を切るように混ぜてなじませていき、なめらかになれば、生地をひとつにまとめて平たくし、ラップに包んで、冷蔵庫で冷やします。
固くなった生地を、軽く打ち粉をした上で、直径3cmの棒状にし、ラップに包み再び冷蔵庫に入れます。生地が固まれば、1cm厚さに切り、170℃のオーブンで20分焼きます。
シンプルなサブレが出来ますが、1cm厚さに切る前に、棒状のサブレ生地に、刷毛で卵白を塗り、全体にグラニュー糖をまぶしつけてから切ると、サブレ・ディアマン(ダイアモンド)ができます。
サクサクとした食感に仕上げるには、バターの量を増やします。バターの油脂分が、小麦粉のグルテンの働きを弱めるからです。
サブレの名前の由来は、いくつかあります。
ひとつめは、フランス語の「サブレ」が「砂」という意味から、ザラザラした食感をあらわしたもの。
ふたつめは、フランスロワール地方サブレという地名が由来になったこと。この町に住んでいた、マドレーヌ・ド・サブレ侯爵夫人のレシピで作ったビスケットが、ルイ14世の弟のコンデ公のサロンで人気となり、コンデ公がこのビスケットを地名にちなんで、「サブレ」と名づけたというもの。
もうひとつは、サブレ侯爵夫人(1598~1678)がルイ14世を訪ねた時に、そこで出された焼き菓子がとてもおいしかったので、ルイ14世がすぐに夫人の名前を付けたといわれています。またお菓子好きの夫人が自分のサロンでお茶会をしていたことにちなみ、ルイ14世が敬意を表して「サブレ」と名づけたとも伝わっています。
サブレ夫人はこのように甘い物好きとして有名であり、自分の味覚が鋭いことにも自信があったので、新しいお菓子を次々と作り出していました。サブレ夫人のサロンは多くの文学者が集まることでも注目されていました。夫人自らもたくさんの格言を残しています。鋭い人間観察から「箴言集」を書いた、ラ・ロシュフコーもサブレ夫人のサロンによく出入りしていました。
90才クラシック女子、室井摩耶子と伊藤京子
2017.9.22音楽
先日、ラジオのNHK-FMを聞いていたら、「90才、クラッシック女子ー昭和・平成わたしの音楽道」というタイトルの番組がありました。
ゲストは、96才のピアニストの室井摩耶子さんと90才のソプラノ歌手の伊藤京子さんでした。聞き手は、渡邊あゆみさんと千住真理子さん。お二人ともとってもお元気で、話すテンポも良く、表情がわからないラジオをすこしもどかしく残念に思いました。
室井さんは、90才を超えてもお肉をよく召し上がる、肉食女子でも有名な方です。また、ずーっと平屋暮らしだったので、死ぬまでに一度は二階で寝たいという理由から、90才の時に新居をたて引越しまでされた、大変アクティブな方でもあります。
最近は、「ハイドンは、面白い」というタイトルで、室井さんはトークコンサートをされています。そのハイドンのピアノソナタで番組は始まり、トークでは、昔ヴィルヘルム・ケンプに会った事、そしてケンプから、ベートーベンのピアノソナタだけでリサイタルをするように薦められたエピソードなど話され、月光のソナタ第1楽章を弾き始められました。
それを聞いていると、私はケンプが来日し、リサイタルで月光のソナタを弾いたときのことを思い出しました。第1楽章がすばらしかったので、思わず聴衆が遠慮がちにした拍手に、ケンプは客席の方に向かってそっと会釈をし、第2楽章に進んだのでした。
また、室井さんは、千住さんから共演を求められたモーツアルトのヴァイオリンソナタK302の曲を知らなかったわと楽しげに言いながらも、彼女のヴァイオリンと一緒に、第2楽章の一部を演奏されました。最後は千住さんがバッハの無伴奏パルティータ第3番からガボットを弾かれました。
真摯に音楽を勉強され、演奏されてきた方の音楽は奥行きや哲学があり、静かにこころに響いてきた時間でした。