空海と飛白体(ひはくたい)

2018.4.20よしなしごと

朝早く起きた時、筆を持つことがあります。
決して上手ではないのですが、墨をすったり、文字を書くと、とても気持ちよく過ごせます。
普段は、横書きにしているせいか、縦に書くのは、なかなか思うようにはいきません。

書家の石川九楊さんが、日本語を横書きにするのは、英語を縦書きするようなものと言われました。
横書きは、記号のやりとり、単なる通信文であり、縦書きにすることで、ちゃんとした文章にしようとする意識が生まれ、それにより心持ちが違ってくるとまで言われます。

「平安の三筆」と言われている人は、嵯峨天皇、橘逸勢(たちばなの はやなり)そして、空海ですが、その空海が書いた書体のひとつにとても惹かれています。
空海が勉強したという王羲之(おうぎし)の書ではなく、それ以前に存在していたという、飛白体です。
空海はこの飛白体も唐から持ち帰りました。

書家の岡本光平さんによると、空海は普通の筆ではなく、竹や板の切れ端のような平たい道具を使って書いたようです。
それはシフォンのやわらかい布が翻ったような、リボンが踊っているようなとてもデザイン性の高い書です。

単に文字を書くのではなく、例えば「木」を書くのに、本来の存在を表現するために、中央の線を根っこから生えているように、下から書いた飛白体に感動しました。

Next

Prev