鞍馬寺と貴船神社

2018.6.2よしなしごと

久しぶりに京都の北、くらまに出かけました。
今回は、季節もいいので、鞍馬寺を抜け、貴船神社まで歩くという、ちょっとした山歩き、ハイキングをすることにしました。
平日のせいか、観光客もさほど多くなく、出町柳から叡山鉄道に乗ると、2両編成の小さな電車の座席は、電車の外側を向いた、風景を楽しめる「きらら」で、とてもラッキーでした。
途中、美しい楓のトンネルを通る時、電車はスピードを少し落として運転し、わくわく感を高めてくれました。

鞍馬で降りると、大きな天狗が迎えてくれます。
そのまま山門まで行くと、山の空気が澄んだように思えました。
ここは、平安時代ととても関わりがあります。
「枕草子」の中で、清少納言が「近うて遠きもの くらまの九十九折の道」と書いた、「つづれ折れの道」を歩いたり、由岐神社、そして樹齢800年というご神木など、いろいろ目にし、本殿に向かいました。

源氏物語では、源氏が若紫に会ったのが、北山のなにがし寺とあり、鞍馬寺とはっきり書かれてはいませんが、舞台はここではないかといわれています。
若紫が、「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる、伏籠(ふせご)のうちにこめたりつるものを」とばあやに半べそをかきながら訴えた若紫の声が想像できます。

ここから山越えになるのですが、木の根っこが地上に姿を現している、「木の根道」が整備されていて、以前よりも歩きやすくなっていました。
そして鞍馬寺の西門近くになると、貴船川の水の流れが聞こえ、さわやかさが増してきます。

貴船神社では、まず水占いをし、中宮、奥宮と歩き、龍神がいるという本殿まで歩きました。
本殿の下には、大きな龍穴があるそうで、伝説に、むかし本殿の修理をしていた大工さんが、あやまってノミを落としてしまったところ、一天にわかにかき曇り、突風が起こり、ノミを空中に吹き上げたと伝わっています。

ここも平安時代の歌人、和泉式部が、夫の心変わりにを悩み、ここ貴船に参ったという話しが残っています。
「もの思へば 沢の蛍もわが身より あくがれいづる 魂かとぞ見る」
この式部の歌の返歌が、男の声で、すぐに届いたというお話しが残っています。

帰りの叡山鉄道の貴船駅に着くと、楽しいことがありました。
駅員さんが、電車の時刻を案内したあと、「今日は数ある観光地からここ、貴船に来て下さってありがとうございます。電車が来るまで、クイズを楽しんで下さい」と言い、問題を出しました。
貴船神社は「きふね」、土地は貴船「きぶね」、と呼び名が違う理由は何でしょうか。
電車を待っていた人たちから、いくつか答えが出たのですが正解ではなく、駅員さんの口から、貴船神社は水の神で、水は濁ってはいけないもの、だから濁り、濁点を取って、「きふね」と呼んでいますと説明がありました。

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