アフタヌーンティーと児童書

2018.8.4紅茶

アフタヌーンティーが生まれた1840年代のイギリスは、どのような社会だったのでしょうか。

その時代の社会、文化を知ることは、アフタヌーンティーパーティーを開くとき、そのテーマが見つけやすくなります。
ティーパーティーでは、ホステスには役割がふたつあります。
一つは、招いた客の紅茶を、ホステス自らがゲストの前で淹れること、もうひとつは、会話のリードをもつことです。

この時代はヴィクトリア女王治世の時で、女王は1837年から1901年まで、64年という長きに渡って君臨し、イギリスは、アフリカや太平洋諸島など海外へ進出し、結果、領土は4倍近くに広がり、大英帝国は世界経済の覇者としての地位にありました。

今回は、子供の本を通して、その変遷を見たいと思いました。

まず、有名な作品をピックアップしてみます。
1823年  グリムの作品集
1840年  アンデルセンの童話が英訳されます
1849年  ディケンズのデヴィッド・コパーフィールド
1859年  ディケンズの二都物語
1865年  不思議の国のアリス
1872年  フランダースの犬
1877年  黒馬物語
1883年  スティーブンソンの宝島
1886年  バーネットの小公子

妖精がでてくるフェアリーテールは、現実的ではないという理由から、子供にふさわしくないと考えられていました。
そんな中、グリムやアンデルセンなどの童話で、より自由な発想による空想の物語がでてきます。

産業革命以後、富と実力を持った中産階級の人たちは社会進出をしていきましたが、大半の労働者階級の人たちは、政治的発言力も持たず、都市のスラム街に住むことを余儀なくされていました。
ディケンズの作品は、労働者階級の恵まれない生活をよく描いています。

そして、道徳的なお話しや教訓に満ちたお話しが多かった児童書ですが、「不思議の国のアリス」はそんなお説教風を振り払い、ユーモアやナンセンスにあふれたストーリーで新しい児童文学の可能性を示しました。想像力を開放するファンタジーの世界です。

「宝島」は社会が海外への関心が高まった時期に、未知へのあこがれや、興味に応える冒険小説でした。

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