又吉が解釈した「走れメロス」

2022.9.22よしなしごと

又吉直樹が、太宰治の「走れメロス」を、文章を読みながら解釈をしていくという動画を見ました。

小学高学年か中学のときに読んだ、友情とか信頼をテーマにした短編という印象しか持っていませんでしたが、
いきなり、「メロスは激怒した」という、意表を突いた文を又吉が読みだしたとき、
こんな衝撃的な書き出しなのに、
まったく記憶に残っていないことが、おどろきでした。

6回に分けての解説に、何度も笑ったり、太宰の文章の強さやリズムのよさの説明があり、はじめてメロスを知りました。

もともとシラーの詩、「人質」をもとに、太宰が肉付けをしていった作品らしいのですが、実際に太宰の体験もあったらしいのです。

執筆のために、熱海の温泉宿に宿泊していたところ、お金に困り、状況を知った女性が知り合いの檀一雄に、太宰にお金を渡し連れ帰ってほしいと頼まれたものの、太宰と檀一雄は、そのお金で飲んでしまい、また困ることになります。

太宰は工面してくると檀一雄を宿に残し、東京にもどります。
が、帰ってこない太宰の様子を檀一雄が見に行くと、太宰は井伏鱒二と将棋を打って
おり、咎められると、「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」と言ったというはなしがあったそうです。

太宰自身は、これがきっかけとは、残していないそうですが、のちに、檀一雄が「走れメロス」を読んだとき、この体験が似ていると思ったそうです。

小説の中で、メロスに、間に合うか間に合わないではない、と言わせ、そして、むき出しの人間が本来持っている間に合うために行動したという、その姿はこの世に存在したという状況にするのが、メロスの信念の部分と結ばれています。

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