堀文子さんのこと

2019.5.17よしなしごと

神戸六甲山にある高山植物園のブルーポピーが見頃だそうです。
ガラスの室内での栽培も含めると、1500株にもなるそうです。

ブルーポピーは、ヒマラヤの標高4500メートル以上のところでしか咲かない花で、野外では、ここでのみ、咲いています。
このお花を見たのは、堀文子さんの絵が先でした。

堀さんが82才のときに、実際に、ヒマラヤに出かけて描いたというお話しは、有名ですね。
「群れない、慣れない、頼らない」という堀さんが大切にされていた感覚を、ブルーポピーはヒマラヤの風に吹かれながら、体現していたのかもしれません。

六甲山で見た実際のお花は、絵の印象とは、ずいぶん違って見えました。
ブルーの色は絵よりも淡く優しい色合いがし、棘の印象も力を持った、鋭いものではありませんでした。
1000メートルに満たない六甲山の高さでは、お花のニュアンスも変わってしまうのかもしれません。

「徹子の部屋」には、「アフガンの王女」という、黒柳徹子さんをモデルにした絵が飾られていますが、もうひとつ、同じく徹子さんモデルの「アフガンの女王ー頂点に立つ者の孤独」も、憂いのあるとても趣のある絵です。  

堀さんの展覧会に出かけたとき、入り口に飾られていた絵は、古代マヤでは「神の使い」と言われる世界一美しい鳥、ケツァールの絵でした。
アマゾン、イタリア、など世界のあちこちの風景と人物、そしてミジンコの世界まで、そのときどきに惹かれたものを描かれた多くの作品の中で、「黄色くないひまわり」という絵が印象に残っています。
咲き終わったあとの枯れたひまわりが、もう太陽の光りではなく、うつむき、足元を見つめているひまわりの絵で、すこし、怖さも感じました。

思い出してみると、福音館の絵本にも作品がありました。「ビップとちょうちょう」。
のちに、「ビップ」、マルセル・マルソーに夢中になるとは、想っても見なかったことです。

堀さんの絵も好きですが、なんといってもその佇まいと、とてもきれいな日本語を話されるところが好きでした。

マドレーヌの由来とレシピ

2019.2.14お菓子

スタニスラス・レクチンスキーという人がいました。
彼は、ルイ15世の妃、マリー・レクチンスカ(1703~1768)の父でしたが、娘のマリーの、ルイ15世を囲む、ポンパドゥール夫人やデュ・バリー伯爵夫人との人間関係を心配し、ルイ15世のこころがマリーから離れないように、グルメだった父、スタニスラスが、おいしいものをマリーのもとへ届けさせていました。

ある日、父、スタニスラスの宮廷のお菓子職人が、仲間とのトラブルで辞めてしまい、困っていたところ、若い召使のマドレーヌが急遽作ったのが、このお菓子でした。
スタニスラスは、このお菓子を大変気に入り、マドレーヌと名付け、マリーにも届けさせました。

「ロカイユ」と呼ばれるロココ様式は、ルイ15世のフランスからヨーロッパに広まって行ったスタイルでした。
食卓の世界では、貝殻やぶどうの模様は、正式の飾りと考えられています。
貝殻は、ヴィーナスの誕生を思わせる縁起の良いものと捉えられていたのです。

マドレーヌは、「4同割」という4つの材料ーバター、砂糖、たまご、小麦粉ーが同量のお菓子です。

バター 100g  グラニュー糖 100g  たまご 2個(Mサイズの白身は30g、黄身は20g)  薄力粉 100g  ベーキングパウダー 1.5g(小さじ1/4)

たまごをときほぐし、砂糖を加えます。(湯せんにかけて、ちゃんとお砂糖をとかします)
ふるった薄力粉とベーキングパウダーを加えます。
溶かしバターは、3~4回に分けて加えていきます。

室温で一時間休ませます。
休ませないとベーキングパウダーの効力が弱く 真ん中がふくらむ形になりません。 

170度のオーブンで、15分から20分焼きます。
出来上がってそのままにしておくと、乾燥してしまうので、荒熱がとれれば、ビニールの袋に入れておくとしっとりとします。

キャラメルクリームと紅茶

2019.2.11紅茶

しんしんと冷たい日には、すこしコクのある飲み物が、欲しくなりますね。
キャラメルティーは、いかがでしょうか、、

佐藤雅子さんという方が書かれた「私の保存食ノート」という本の中に、とても簡単でユニークなキャラメルクリームの作り方が紹介されていたので、お伝えします。

コンデンスミルク1缶を、ふたは開けずに、そのままお鍋に入れ、缶がかぶるぐらいのお湯を入れて、火にかけるだけです。
缶がいつもお湯の中にあるように、お湯が少なくなれば、さし湯をし、ただひたすら火にかけておくだけです。
1時間から2時間、火にかけると書いてありました。

簡単なことなのですが、中身が見えないし、缶のままこんなに長時間、火にかけてていいものかどうか、不安になりながら、わたしは、1時間半、ぐつぐつ火にかけていました。

缶だけを取り出して、そのまま冷まします。
熱いうちに缶を開けると、中からキャラメルがとびだしてくるので、かならず冷ますこと、と書いてあったので、すっかり冷めるまで待ちました。

缶を開けると、とろりとおいしそうに出来上がっていました。
ただ、火加減を弱くしすぎていたせいか、クリームの色は、思っていたより薄めでしたが、しっかりキャラメルクリームになっていました。
紅茶に入れるときは、そのままでも軽やかさがあっておいしくいただけますが、ほんの少し、お砂糖を加えると、コクが出て、おいしく飲めました。

本には、パンにつけてもおいしいとありました。
メルバトーストという、バゲットをうすく切って焼いたものにつけたり、食パンを小さく切って、カリカリに焼いたパンにつけます。

このキャラメルソースの作り方は、スペインやアルゼンチンでも使われており、ドゥルセ・デ・レチェというそうです。