桜守さんと春の日々

2022.3.19よしなしごと

3月12日にお水取りの日を迎えたこの日から、日差しが急に春めいてきました。

近くの川の両側に、さくら並木があるのですが、蕾はまだ小さく固く、開花するのは
今月の末かなと思っていました。
月の半ばを過ぎた頃から、暖かい日が続いたせいか、蕾は大きく育っており、毎年一番に花開く木を目安に
チェックするのが楽しみになってきました。

京都に造園のお仕事をされている16代目佐野藤右衛門さんという方がいらっしゃいます。
桜守(さくらもり)という、桜の木の健康状態に気をつけたりや子孫を残していくということもされています。
14代目の方が桜の木の研究を始められたので、桜守さんとしては、3代目になられます。

桜は、ソメイヨシノ、枝垂れ桜、オオシマザクラなどほんのわずかしか知らなかったのですが、
藤右衛門さんによると300種類以上あると言われます。

京都の円山公園の枝垂れ桜は、16代目のお誕生の記念に初代の枝垂れ桜の種を育て、それを移植された木だそうです。
一度、咲き誇ったこの枝垂れ桜を見たことがありましたが、ほんとうに見事で、何回か振り返り振り返りして帰ったこと、そして、この枝垂れ桜が植えられた次の年、台風で倒れないように、桜の木を抱いて守ったお父様の話しとともに長くこころにあります。

「願わくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月の頃」
西行が詠んだ三月のまさに昨日の満月の日の句です。
昔の夜桜の絵に、満月が描かれているのはそうであってほしいという期待ではなく、
花は
確実に月に向かって咲いていきます。

藤右衛門さんのお宅のいろんな種類の桜をご好意で見ることができますが、ことしも
お庭の開放は見送られるそうです。

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