2018.6.4よしなしごと

六月に入ると、蛍が楽しみになります。
近くの川で見る蛍は、例年より、一週間ぐらい早いようです。

蛍は、月明かりのない、19時半頃から21時ぐらいまで見ることができます。
成虫になって、飛ぶのは一週間ぐらいです。

水がきれいで、暗く静かなところ、そして、草が水面にかぶさっているようなところがベストで、光るのは、蛍の求愛行動のためです。
蛍を見に出かけた一日目は、一匹しか見つからず、がっかりしたのですが、昨日は、蛍が飛ぶ様子まで見ることができ、ラッキーでした。

その蛍の飛んでいる様子を見ていて、源氏が蛍を袋から出して、玉鬘の部屋に放つくだりを思い出しました。
それは「蛍の巻」のお話しで、玉鬘に思いを寄せる兵部卿宮に気づかれないように、身を潜めていた源氏が、蛍のひかりで、玉鬘の姿をうっすらと見せる、とても美しいシーンです。

また、蛍は、夏の季語でもあります。
飯田蛇笏(だこつ)の句に、「てうつしに ひかりつめたき ほたるかな」という、やさしい俳句があります。

松尾芭蕉は、草の葉に止まっていた蛍が、すべり落ちるような感じに見えたけれど、ふわっと飛び立ってしまったという情景を詠みました。
「草の葉を 落つるより飛ぶ 蛍かな」

今夜の蛍は、どのような姿を見せてくれるのでしょうか。
暗くなるのを待ちます。

鞍馬寺と貴船神社

2018.6.2よしなしごと

久しぶりに京都の北、くらまに出かけました。
今回は、季節もいいので、鞍馬寺を抜け、貴船神社まで歩くという、ちょっとした山歩き、ハイキングをすることにしました。
平日のせいか、観光客もさほど多くなく、出町柳から叡山鉄道に乗ると、2両編成の小さな電車の座席は、電車の外側を向いた、風景を楽しめる「きらら」で、とてもラッキーでした。
途中、美しい楓のトンネルを通る時、電車はスピードを少し落として運転し、わくわく感を高めてくれました。

鞍馬で降りると、大きな天狗が迎えてくれます。
そのまま山門まで行くと、山の空気が澄んだように思えました。
ここは、平安時代ととても関わりがあります。
「枕草子」の中で、清少納言が「近うて遠きもの くらまの九十九折の道」と書いた、「つづれ折れの道」を歩いたり、由岐神社、そして樹齢800年というご神木など、いろいろ目にし、本殿に向かいました。

源氏物語では、源氏が若紫に会ったのが、北山のなにがし寺とあり、鞍馬寺とはっきり書かれてはいませんが、舞台はここではないかといわれています。
若紫が、「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる、伏籠(ふせご)のうちにこめたりつるものを」とばあやに半べそをかきながら訴えた若紫の声が想像できます。

ここから山越えになるのですが、木の根っこが地上に姿を現している、「木の根道」が整備されていて、以前よりも歩きやすくなっていました。
そして鞍馬寺の西門近くになると、貴船川の水の流れが聞こえ、さわやかさが増してきます。

貴船神社では、まず水占いをし、中宮、奥宮と歩き、龍神がいるという本殿まで歩きました。
本殿の下には、大きな龍穴があるそうで、伝説に、むかし本殿の修理をしていた大工さんが、あやまってノミを落としてしまったところ、一天にわかにかき曇り、突風が起こり、ノミを空中に吹き上げたと伝わっています。

ここも平安時代の歌人、和泉式部が、夫の心変わりにを悩み、ここ貴船に参ったという話しが残っています。
「もの思へば 沢の蛍もわが身より あくがれいづる 魂かとぞ見る」
この式部の歌の返歌が、男の声で、すぐに届いたというお話しが残っています。

帰りの叡山鉄道の貴船駅に着くと、楽しいことがありました。
駅員さんが、電車の時刻を案内したあと、「今日は数ある観光地からここ、貴船に来て下さってありがとうございます。電車が来るまで、クイズを楽しんで下さい」と言い、問題を出しました。
貴船神社は「きふね」、土地は貴船「きぶね」、と呼び名が違う理由は何でしょうか。
電車を待っていた人たちから、いくつか答えが出たのですが正解ではなく、駅員さんの口から、貴船神社は水の神で、水は濁ってはいけないもの、だから濁り、濁点を取って、「きふね」と呼んでいますと説明がありました。

野生のいのしし現る

2018.4.22よしなしごと

良いお天気なので、ちょっとした山登りをすることにしました。

待ち合わせの駅前には、ハイカーに対する注意書きが、マナーも含め、いろいろ書いてありました。
おしまいの方に いのししに対する注意も書いてありましたが、気にも留めず。

川に沿っての坂道を歩き、まだ山の入り口ともいえないところの登山道の端に、ウリ坊といわれるサイズよりも大きないのししが4頭、草を食べていたのでしょうか、それともいのししの近くにビニール袋が散らかっていたので、食べ物を見つけたのかも分かりません。
いのししが生まれるのは、春、4月から6月のあいだだそうで、一度に4~6頭生まれるということなので、兄弟だったのでしょうか、いきなりだったので、びっくりしてしまいました。

山登りをしている人の話しでは、いのししは慎重で臆病な性格だから、おどかさないこと。
そしてどういうわけか、いのししには男性と女性の区別がつくらしく、女性が後ろ姿を見せると、つつかれることがあるそうなので、背中を見せないように、そっと離れると良いと教わりましたが、小さいとはいえ、野生の動物なので、とまどってしまいました。

何もしない限り、突然おそってくることはないとか、いのししに刺激を与えたり、興奮させなければ一応大丈夫とか、居合わせた人それぞれが、いのししについて知っている情報を交換しながら、驚きがあったものの、いのししのおかげで、知らないハイカーの人たちと仲良くなり、リフレッシュできました。