「かちん」は御所言葉です

2017.12.15よしなしごと

寒いときは、おうどんが食べたくなります。最近は炭水化物を控えるダイエットが広まっていますが、すぐにからだがあたたまるので、冬には一番ですね。

おうどんのメニューの中に、「かちんうどん」というのがあります。

「かちん」「おかちん」というのは、御所言葉で、おもちのことです。
御所言葉というのは、室町時代の宮中で、仕えていた女房の間で使われていたことばです。江戸時代になると将軍家に仕える女性から、町娘にまで広がっていきました。
女房言葉とも言われます。

現代の日本語にも、御所言葉が残っているものがあります。 

おさゆ   湯のこと
おひや   水のこと
おつゆ   おすまし、すまし汁のこと
おこうこ  漬物
うのはな  おから
おかか   かつおぶし
田作り   ごまめ
ぐじ    甘鯛
おまん   まんじゅう  
おせん   せんべいなど

関西では、名詞に「さん付け」をしたりしますね。
お豆さん、おいもさん(さつまいも)、おあげさん(油揚げ)、おいなりさん(いなりずし)など
これは、位の高い人の召し上がるものに対しての敬意からと考えられています。

食べ物以外にも、「さん」を付けます。
神さん、仏さん、かんのんさん(観音)、おてらさん(お坊さん)、お日さん(太陽)、お月さん(月)など
これも尊敬とそして親しみからでた表現とされています。

御所言葉をおもしろおかしく物語にした「延陽伯(えんようはく)」という落語があります。長屋のやもめに嫁がくることになり、若く美しいその女性は、京都のお公家さんのところで奉公していたとかで、やもめの男性には嫁の言葉がまったくわからず、おもしろいやりとりが展開するという話しです。
この「延陽伯」のはなしを元に、東京では、「たらちね」という落語があります。
関西の落語家で「延陽伯」を一席、いかがでしょうか。

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