「空を待つ」

2019.8.22よしなしごと

人を待つ間、手にした雑誌に、西加奈子の短編が載っていました。

女性の作家が、夜、散歩に出かけたとき、偶然、携帯電話を拾います。
翌日警察に届けようと、軽い気持ちで家に持って帰った携帯の待ち受けには、「空」が写っていました。

そこに突然、「あっちゃん」という名前で、メールが送信されてきました。
女性は罪悪感を感じながらも、もし、「あっちゃん」なる人が、落とし主を知っているなら返そうと、返信します。

「あっちゃん」から、メールが何通か、届くようになりました。
女性も、軽い日常のやりとりと思えるような言葉を選んで、送信していました。

数回やりとりがあったあと、その女性作家は、みじかく「あいたい」とメールを送ってしまいます。

女性が、拾った携帯を家に持ち帰るところから、わたしの中で、妙にドキドキがおさまらなくなってしまい、このみじかいお話にすっぽりと入ってしまいました。

調べてみると、西加奈子の、「炎上するきみ」という短編集の中の作品でした。

怖さは、何であったのか、、
「あっちゃん」はだれ、、

これは、詮索不要。
自分の中に、なにか感じるものが涌き上がったのなら、それをただ味わうだけでいいと思いました。

良い時間でした。

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