サブレ侯爵夫人のお菓子
2017.9.26お菓子
パイ生地の作り方には、折り込み式と練り込み式のふたつがあります。練り込み式の生地は、三種類に分かれます。
パート・シュクレ 甘みのある生地
パート・ブリゼ 塩気のある生地
パート・サブレ 生地そのものがお菓子になる
パート・サブレの作り方
無塩バター 120g
粉砂糖 70g
塩 ひとつまみ
卵黄 1個(20g)
薄力粉 170g
下準備:冷蔵庫からバターを出して、室温にもどす。たまごは、卵黄と卵白に分けておく。薄力粉はふるっておく。
ボウルにやわらかくなったバターを泡だて器で混ぜる。粉砂糖を加えてすり混ぜていく。塩を加え、卵黄も加える。ふるった薄力粉を切るように混ぜてなじませていき、なめらかになれば、生地をひとつにまとめて平たくし、ラップに包んで、冷蔵庫で冷やします。
固くなった生地を、軽く打ち粉をした上で、直径3cmの棒状にし、ラップに包み再び冷蔵庫に入れます。生地が固まれば、1cm厚さに切り、170℃のオーブンで20分焼きます。
シンプルなサブレが出来ますが、1cm厚さに切る前に、棒状のサブレ生地に、刷毛で卵白を塗り、全体にグラニュー糖をまぶしつけてから切ると、サブレ・ディアマン(ダイアモンド)ができます。
サクサクとした食感に仕上げるには、バターの量を増やします。バターの油脂分が、小麦粉のグルテンの働きを弱めるからです。
サブレの名前の由来は、いくつかあります。
ひとつめは、フランス語の「サブレ」が「砂」という意味から、ザラザラした食感をあらわしたもの。
ふたつめは、フランスロワール地方サブレという地名が由来になったこと。この町に住んでいた、マドレーヌ・ド・サブレ侯爵夫人のレシピで作ったビスケットが、ルイ14世の弟のコンデ公のサロンで人気となり、コンデ公がこのビスケットを地名にちなんで、「サブレ」と名づけたというもの。
もうひとつは、サブレ侯爵夫人(1598~1678)がルイ14世を訪ねた時に、そこで出された焼き菓子がとてもおいしかったので、ルイ14世がすぐに夫人の名前を付けたといわれています。またお菓子好きの夫人が自分のサロンでお茶会をしていたことにちなみ、ルイ14世が敬意を表して「サブレ」と名づけたとも伝わっています。
サブレ夫人はこのように甘い物好きとして有名であり、自分の味覚が鋭いことにも自信があったので、新しいお菓子を次々と作り出していました。サブレ夫人のサロンは多くの文学者が集まることでも注目されていました。夫人自らもたくさんの格言を残しています。鋭い人間観察から「箴言集」を書いた、ラ・ロシュフコーもサブレ夫人のサロンによく出入りしていました。
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