エマニュエル・セイソンのハープ

2018.3.16音楽

セイソンはフランスの若い、とても魅力的なハープの演奏家です。

二年前、何も知らず、先入観なく聴いたセイソンのハープに、とても感動してしまいました。
最初に、バッハのフランス組曲3番を演奏したのですが、1曲目のアルマンドからくぎ付けとなってしまいました。

シュポーアのc-mollの幻想曲
チャイコフスキーのオペラ エフゲニー・オネーギンの主題による幻想曲
ベルリーニのオペラ    ノルマの主題による序奏と変奏
ドビュッシー  前奏曲集から  ヒースの茂る荒れ地
                亜麻色の髪の乙女   など

彼は、心打たれるのは、ロシア音楽とフランスの音楽、特にドビュッシーの音楽だと言います。その音楽の求める透明感が、ハープの音とよく響き合い、表情のゆたかさや影の部分まで表現することができるという、彼の音楽性が好きです。

ハープを少し勉強したことがありますが、こんなに深く、表現できる楽器とは、知りませんでした。

彼は、ことしの夏、日本にやって来ます。

梅と源氏物語の薫物

2018.3.14よしなしごと

梅を見に行ってきました。
毎年、梅を見に行くのですが、今年は、はじめて満開の梅を、目にすることができました。

梅を見ると、紫の上を思い出します。
源氏物語で、紫の上が好きな紅梅を、源氏の君と一緒に愛でるシーンがあります。普段は座っていたり、ひざ立ちの生活の紫の上が、六条院の庭に咲く梅を、
源氏とふたりで、立って眺めるシーンは素敵で、印象に残っています。

もうひとつ、源氏物語、32帖「梅枝(うめがえ)」の巻には、香の話しがでてきます。

明石の上の娘、明石の姫君の裳着、そして東宮に入内する準備に、薫物の調合をします。
平安時代は練り香でした。

源氏の君が調合したのは、「侍従」、そして4人の女性にも調合をさせました。
紫の上が調合した薫りは、「梅香(ばいか)」、花散里は、「荷葉(かよう)」、朝顔の君は、「黒方(くろぼう)」でした。 
明石の上は、練り香ではなく、薫衣香(くんえこう)という、着物に焚き染める香を作りました。

そこに、源氏の弟である、兵部卿の宮がやってきたので、どの香がすばらしいか、と判定をゆだねます。
「侍従」は、艶があり優美であると、「黒方」は、静かな趣きがすぐれていると、「荷葉」は、変わった気分がするが、なつかしい香りであると、
「梅花」は、若々しく、はなやかで、珍しく冴えた気の添っているものと、そして明石の君の薫衣香は、とても優美な香りといい、
どれも優劣が付けにくいと語ります。

そのあと、管弦の世界に入っていくのですが、香りを具体的に想像できるので、とても興味の持てる巻でもあります。

江戸時代に「組香」と言って、源氏物語54帖の巻名を図式化したものがありますが、「源氏香之図」は、デザイン性としてもすぐれていると思います。

春のきっかけと春の紅茶 

2018.3.12紅茶

奈良の東大寺二月堂では、3月に入ると、14日まで修ニ会が行われます。

特に12日深夜から未明にかけては、この行を勤める練行衆の道明かりとして、童子と言われる人たちが、7メートルもの大きなたいまつを振りかざし、二月堂の回廊を駆け巡る風景は、よくテレビで目にします。
一度も絶えることなく、今年で1260回を超えるというのですから、本当に驚いてしまいます。

お水取りが終わると、本格的に、春がやってきます。

春のお菓子と言えば、やはり桜餅やうぐいすもち、三色だんごなど、日本の四季を意識した和菓子に目がいきますね。
和菓子と紅茶は、合うのでしょうか。

紅茶は、緑茶のように繊維質を多く含んでいないので、甘みのある和菓子と合わせると、紅茶の渋みが、口の中をさっぱりとさせます。
そして紅茶の幅広い香りが、和菓子の個性を邪魔せず、個々の風味ととてもよく合います。

茶葉は、和菓子の強い甘みを和らげ、すっきりさせる紅茶として、少し渋みのある、ダージリン、キーマン、ウバ、ヌワラエリアが、合います。
ブラックで、頂きます。
和菓子には、ミルクを使った紅茶は、合いません。
目先を変えて、風味がやわらかい和紅茶と合わせても、おいしく頂けます。

誰に宛ててのことではありませんが、
春です。  起きてください。