田辺聖子の「古事記」

2025.1.29よしなしごと

田辺聖子の古事記を、一気に、読み終えたところです。

神々が、生き生きと、存在感をもって、動いています。
わたしたちは、こんなに、生命力あふれる神話を持っていたんだと、あらためて
思いました。

柳田國男が、「日本の神さまは、循環する」ということを、書いてあったのをおもい
だしました。
神は山から下りて、人々のくらしを見、収穫をよろこび、ふたたび山にもどり、
エネルギーを蓄えると。

そういえば、以前、天の橋立近くにある、元伊勢といわれる、格式の高い、籠神社
(このじんじゃ)に、行ったことがあります。
奥宮の真名井神社とともに、長い歴史とともに、ご由緒があります。

ここの水琴窟は、いままでに、聞いたことがないような、すずやかで、大変、
うつくしい音色で、立ち去りがたい響きでした。

境内を参拝しているときに、たまたま、宮司さんとお目にかかる機会があり、
いろいろ、神社のおはなしを伺うことができました。
宮司さんは、始祖である、彦火明命(ひこほあかりのみこと)に、続く方です。

おはなしのなかで、脈絡もなく、「これからは、神さまがうごかれるので、よくなっていきますよ」と、わたしにいわれたのです。
具体的に、もっと深く伺いたいともおもったのですが、さわらず、おっしゃって
くださったことば、そのままを、大切に受けとり、いまに至っています。

お聖さんの古事記は、原典にとりこまれることもなく、作家の腕力ともいえる筆の
ちからで、読んでいる者を引き込んでしまう魅力がありました。

そして、神々の名前も元の漢字で表記されてるので、きもちが不安定にならず、目で
確かめ、ふりがなの音を耳でたのしめたのも、よかったとおもっています。

いつも手元にあってほしい、そして、それを手渡していくべき書だと、おもって
います。

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