4月5日 清明(せいめい) 

2018.4.5

二十四節気のひとつである「清明」は、4月20日の穀雨(こくう)までの時期を指します。
「清明」は文字通り、清く明るい空気が満ちる時期と伝わっています。
もともとは、万物が清らかで、生き生きとした様子を表した「清浄明潔」という言葉を略した季語でした。

俳人、飯田蛇笏(だこつ)の句に、「清明の路ゆく媼が念珠かな」という一句があります。

七十ニ候を見ると、春が行き届いている感じがします。

初候 4月5日~4月8日
玄鳥至 つばめ、きたる

次候 4月9日~4月13日
鴻雁北 こうがん、かえる
雁がシベリアへ帰っていく頃、そして雁は「かりかり」という鳴き声が名前の由来となっています。

末候 4月14日~4月19日
虹始見 にじ、はじめて、あらわる
春が深まって空気が潤い、きれいな虹が見えるようになります。

この時期、新じゃがいもが、旬をむかえますね。
作家、宇野千代が、とても簡単でおいしいのでお薦めという、「新じゃがの薄切りサラダ」を紹介します。
新じゃがいもは、濡れぶきんで、皮をこすってむき、薄くうすく、輪切りにします。
よくアク抜きをし、塩を少し加えた熱湯で、サッとゆがきます。
すぐに半透明になるので、火がちゃんと通り、歯ごたえがあれば、すぐにザルに取り、水道の蛇口の下に持って行き、急速に冷やします。

フレンチドレッシングにお出しを入れて伸ばし、砂糖と薄口醤油をほんの少しとゆず酢をほんの少しあわせ、ポテトと和え、冷蔵庫で冷やします。
器に盛り付けて、パセリのみじん切れを散らします。

大雪-たいせつ

2017.12.7

寒い日々がつづいていますね。
今日は、二十四節気で言うと、「大雪」にあたり、これは「たいせつ」と読みます。

雪がいよいよ降り始める頃であり、ぶりやタラをはじめ冬の魚が旬を迎え、南天の実が赤く色づいていきます。

七十ニ候では、12月22日の冬至までを三つに分けます。

初候として、12月7日から12月11日までを 「閉塞成冬」(そらさむく ふゆとなる)といい、冬の訪れを表現します。

次候として、12月12日から12月16日までは 「熊蟄穴」(くま あなにこもる)といい、まさしく冬ごもりとなります。

末候として、12月17日から12月21日までを 「鱖魚群」(さけのうお むらがる)といい、鮭が生まれた川にもどっていきます。

雪の別名として、とてもきれいな言葉があるので少し書いてみます。
  
雪の花            雪が降ることを花が散ることにたとえたもの
不香(ふきょう)の花     香りのない花
銀花(ぎんか)        花にたとえたもの
六花(りっか)        雪の結晶からの雪の異称

おいしい雪もあります。雪鍋、または、みぞれ鍋といい、大根おろしを雪にみたて、たっぷりと鍋に加え、あたたかい雪として、味わいます。

こよみは寒露です

2017.10.9

二十四節気(にじゅうしせっき)では10月8日が寒露に当たり、これから本格的な秋のはじまりとなります。空気も澄み、夜も長くなっていき、日が落ちてからの楽しみが増えていきます。次の二十四節気の10月23日の霜降まで、七十二侯(しちじゅうにこう)では10月8日から13日は鴻雁来(こうがんきたる)、10月14日から18日は菊花開(きくのはなひらく)、10月19日から23日は蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)と季節の名前を読むだけで、「秋深し」が感じられます。

寒露は俳句で秋の季語になります。
手元に田辺聖子さんの「花ごろもぬぐやまつわる わが愛の杉田久女(ひさじょ)」と同じ著者の「ひねくれ一茶」があったので、もう一度、読んでみることにしました。

杉田久女は美術教師の妻となってから、俳句と出合い、俳誌「ホトトギス」に投稿し、評価を得ていきますが、のちに、尊敬する高浜虚子からは破門され、晩年は精神を病んでしまいます。
数年も前になりますが、杉田久女を樹木希林さんが演じた「台所の聖女」というドラマがあったことも思い出しました。ドラマの内容はもちろん、樹木希林さんをはじめ錚々たる出演者の方々の演技がすばらしく、もう一度見たいドラマでした。

本のタイトルになっている俳句が、花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ、他にも、足袋つぐやノラともならず教師妻、紫陽花に秋冷(しゅうれい)いたる信濃かな、夕顔に水仕(みずし)もすみてたたずめり、こだまして山ほととぎすほしいまま、甕たのし葡萄の美酒がわき澄める等々があります。

「ひねくれ一茶」は、一茶の俳句からは想像できない「屈折」という言葉ではおさまらない、なまなましいまでの一茶が立ち現れてきます。

一茶の秋の句をすこし。
けふからは日本の雁ぞ楽に寝よ、青空に指で字を書く秋の暮れ、日の暮れの背中淋しき紅葉かな、名月をとってくれろと泣く子かな、夕日影町いっぱいのとんぼかな、散るすすき寒くなるのが目に見ゆる、うつくしや障子の穴の天の川