8月13日 ひぐらし 鳴く

2018.8.12

天気予報では、お盆の時期も、酷暑が続くと予報をしていましたが、季節はそっと変化を見せています。

季節の移り変わりを表す二十四節気では、8月7日は立秋でした。
次の8月23日の処暑までを動物や植物の変化を表す七十ニ候では、次のようになります。
初候 8月7日  涼風至(すずかぜ いたる)
次候 8月13日  寒蝉鳴(ひぐらし なく)
末候 8月18日  蒙霧升降(ふかき きり まとう)

このあたりは緑もあるので、自然を意識すると、こよみの移り変わりが、とても身近に感じられます。
わずかな虫の声もわかりましたし、カーテン越しの風は、湿気のないさわやかなものでした。
今朝の空には、うろこ雲がありました。

果物では、桃が旬ですね。
漢方では、桃は「気」を養う果物として、盛大に食べられます。
中国の家庭では、桃のシーズンが終わっても食べられるようにと、コンポートにして、冷凍しておくそうです。
終わってしまいましたが、8月8日、9日、10日を「白桃はくとうの日」と言うそうですね。

公園に行くとつゆくさが見つかります。
朝露が乾かないうちにしぼんでしまうので、がっかりしますが、その一日花という性質から、英語ではそのまま、「dayflower」と呼ばれます。
子供の頃遊んだように、花の色が布に移りやすいので、「着き草、つきくさ」と名前があり、友禅染めの下地を描く染料にもなっていました。
万葉の頃から、わたしたちになじみのあるお花です。

今日の夕暮れ、ひぐらしは、鳴くのでしょうか。

暑中お見舞い申し上げます

2018.7.23

タイトルのように、「暑中見舞い」のご挨拶ができるのは、今日、7月23日の「大暑」から8月6日の立秋までの期間です。

盛夏、極暑(ごくしょ)、炎暑など、きびしい暑さの極みのような言葉や、もっと直接的に、炎ゆ(もゆ)、暑し、と燃え盛るような、照りつけるような暑さを表現する言葉が、季語にはたくさんあります。

ずばり「大暑」という季語を使って、鈴木真砂女が とてもおいしそうな俳句を残しています。
くずもちの きな粉しめりし 大暑かな

芥川龍之介にも、作品があります。彼は、「我鬼」という俳号を持っていました。

兎も 片耳垂るる 大暑かな

もう一句、有名な夏の俳句があります。

青蛙 おのれも ペンキぬりたてか

はじめて読んだ時は、目がテンになりましたが、のちにこれは、ジュール・ルナールの「博物誌」のなかの一文、「青蜥蜴、ペンキ塗りたて ご用心」から句にした、本歌取りのような一句だと知りました。

ルナールは「にんじん」という小説で有名ですね。「にんじん」とあだ名を付けられた、赤毛の少年の心理を描いた作品で、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督が映画にもしました。

龍之介は、「河童」を最後に残し、亡くなりました。

明日、7月24日は、河童忌、龍之介の命日にあたります。

半夏生(はんげしょう)

2018.7.2

今日は暦の七十ニ候では、「半夏生」と言います。
夏至から数えて11日目にあたり、梅雨明けもし、そして田植えも終える時期として、伝わっています。

半夏生の花は、緑の葉っぱの下半分が白くなっているのが特徴で、別名、「片白草、かたしろぐさ」と見たそのままに名付けられています。 
茎の先に小さな白い花が密集している穂を持ち、それは、「トカゲのしっぽ」と言われています。

葉っぱの半分だけが白いところから、お化粧の途中という感じもあり、「半化粧」と呼ぶところもあります。
ドクダミ科に属しているせいか、なかなか強く、この夏の季節に水辺で密集して咲いているのは、なかなか涼やかな風景に思います。

関西ではこの頃に、たこを食べる習慣があります。
田植えの終わった稲が、蛸の足のように、田んぼにしっかりと根付くようにという謂れからきています。
蛸には、「タウリン」という疲労回復に役立つ栄養効果があるので、この季節にふさわしい食べ物とも考えられていたのでしょう。
いろいろなお料理の仕方がありますが、きゅうりと蛸の酢の物があっさりとよく食べられています。